歌手は自力で目指すはムリ!でもオーディションなら一番有利

歌手になりたい高校生のイメージ

オーディションといっても、様々なタイプがありますが、今回は事務所などの所属オーディションのことを前提にお話します。

あなたが今高校生で、歌手になりたいと本気で思っている場合、歌手オーディションは受けるべきなのか?

結論から言うと、受けるべきです。むしろ、高校生のうちに。

歌手という活動ジャンルにおいても、高校生から「やっぱり」プロダクション所属を目指すべき理由とアドバンテージ、そして注意点について考えていきたいと思います。

本記事を読むべき人
  • 歌手になりたい高校生、またはそのご両親
  • オーディションを受けるべきか迷っている高校生(や若い世代)

高校生がやっぱり歌手オーディションを受けるべき理由

何者かになりたい、でも現実は難しい、そんな悩める高校生の採るべき道とは?

「何者かになりたい」という想い

歌手になりたい気持ちが具体的に強まるのは、昔も今も高校生くらいの時期が一番多いと思います。なぜなら、思春期に差し掛かると自我が確立し、それまでぼんやりとしていた夢と自分の将来像を合わせて思考することができるようになるからです。

例えば歌手になりたい10代の心境プロセスは、下記のようなステップが多いのではないでしょうか。

  1. 1,小学生の時に歌番組など歌手という存在を知り、あこがれを持つ。
  2. 2,中学生になると、あこがれは夢に過ぎないことを知り、一旦心にフタをする。
  3. 3,高校生になると、自己実現をイメージできるようになり、歌手を自分の目標として具体的に設定する。

もちろん歌手に限らず、スポーツ選手やタレント、芸人やYoutuberなど、どんなジャンルでも当てはまります。
高校生時代、人に注目されそうな職業を、誰しも一度は将来の目標としてイメージするもの。それは自己承認欲求が芽生える年齢だからです。

10代で生じる「何者かになりたい」という想い
これを放置したり、やれない言い訳を積み上げたりしていると、社会人になって必ず後悔します。
スタートのチャンスは、人生の中でも高校生時代の「今」しかないかもしれません。 特に歌手になりたい場合、できるだけ早いうちに取り組まないと、タイムアップになります。
その期限付きチャンスの第一歩が、やっぱり歌手オーディションである、というお話。

一方で、仮に歌手として「何者か」になれなくても、新たな別の道に進路変更できるチャンスがあるのは高校生だけなのです。

高校生が自力でファンを作ることの難しさ

では歌手になりたい高校生は、「思い立ったら即行動」でオーディションを受けるべきなのでしょうか?
即行動が正しいわけではないが、ちゃんと考えた上で「受けるべき」。なぜなら、本気で目指すなら一日でも早く足がかりを見つける方が有利だから。

最近では、「歌手になりたい高校生はオーディションを受けるべきではない」という記事をよく見かけることがあります。
内容を読むと、概ね理由は下記のようなもの。

  • 歌手はオーディションに受かっても、結局ファンがついていないと売り出してもらえない
  • 今は個人で発信できる時代だから、歌手オーディションに受かる必要はない
  • 事務所やレコード会社は、不要な時代

この意見には、私も賛成です。というより、私もずっと下記のように言い続けてきています。

  • 「アーティストの最大の使命はファンを作ること」
  • 「レコード会社に持っていくにはファンの数を証明すること」
  • 「昔と違ってメジャーを目指すことがすべてではない」

しかし私は、高校生に関しては別の向き合い方をすべきだと考えています。
なぜなら18歳未満の時分で、「ファンは自分で作れる」と打ち返すのは、さすがに無理があるからです。

確かに世の中には、17歳で有名インフルエンサーになっているような影響力の持ち主は存在します。SNSやYoutubeなどの発展により、わざわざ大人たちの手を借りずとも、自分でファンを作れる環境が存在する時代。

「でもだからと言って、ホントに自分でできますか?」

9割9分9厘の高校生にとって、自力でファンをつくることなど現実的ではないはず。
大人だって大変なことですよね? 継続力など、才能以外のウェイトが大きいからです。
高校生が自力で、職業としての歌手を目指すのは至難の業。

たとえ何かを目指せるツールやテクノロジーが目の前にあっても、ブレずに進み続けることは難しいはず。特に多感な高校生にとっては、モチベーションのキープはハードルが高いことでしょう。
スポーツも勉強もそう。希望をもって自分なりにやってはみたけど、思うように進まない場合、落胆か逃避に向かいがちですよね。
でも当たり前ですし、投げ出すのも自由、許されもします。だって、まだまだ未熟な高校生なのですから。

しかし許されるに甘んじて、後に後悔するのは社会人になった後のあなた自身かもしれません。

やっぱり必要な音楽プロダクションの協力

時代がどうあれ、音楽業界(芸能界)においても、やはり導いてくれる大人(指導者や組織)が必要なのです。
プロダクションは、歌手を目指す人が、いつか歌手として成立してくれなければ困る。こちらは夢ではなくビジネスですから、ある意味、本人よりも真剣です。
歌手として忍耐強く育成し、道に迷えば相談に乗り、本人とともに当事者として行動します。

プロダクションの役割例
  • 楽曲を与える
  • レコーディングをする
  • ライブをブッキングする
  • メディアに出させる
  • 楽曲を制作し、リリースする

いかにSNSやYoutubeが発展しようとも、自宅に機材が揃っていようとも、個人の力では一歩も進めないことがお解りでしょうか。

たぶん、あなたが「個人でもやれる」と思っていることも、プロの目から見れば素人のお遊びとしか映りません。クオリティーやスピード感も、プロとアマでは天地の差があります。

「自分なりに」やっているうちに、チャンスの賞味期限がとっくに過ぎていた、なんて、よくある話です。
だから歌手になりたい高校生(そしてわが子を応援する親御さん)は、業界のプロとタッグを組むべきなのです。

歌手を目指すなら、具体的な環境が必要。そのため、歌手オーディションを受け、プロダクションの力を求めてください。

歌手オーディションにトライする高校生が有利な理由

歌手オーディションを考える男子高生

結論から言うと、歌手オーディションにトライするなら、若いうちの方が有利。昔から現在に至るまで、それだけは変わらない事実。
芸能の世界はスタートが20歳を超えると、ガクッとチャンスは減ります。

社会人になってから VS 高校生のうちから

歌手を目指すなら、高校生のうちから足掛かりをつけること、かなり重要です。結果的に20代や30代で歌手活動が成功した人でも、音楽活動は10代からスタートしていることがほとんどだからです。

歌手を目指すにあたり、「親の賛同が得られなくて」「ウチは経済的に厳しくて」「勉強やバイトで忙しくて」と理由付けして、高校生のうちから取り組みができないとします。
ところが、一旦「パタンッ」と心にフタをしても、社会人になってから再びフタは「パカッ」と開くもの。私も何千人とオーディションしてきましたが、20代後半~40代の志望者は、4割がそのパターンです。

歌手オーディションにおける、よくあるやり取り
女性アーティスト

社会人になって自分のやりたいことができるようになったので、オーディションに来ました

ミュージックバンカー代表

う~ん、今からですか…キビしいですね

歌手の世界は、あなたの都合に合わせて存在しているわけではありません。行動を起こした時には遅すぎるなんてことは、ざらにあり。
そして、かつて押し込めた心に縛られ、過去を後悔する大人はたくさんいます。

男性アーティスト

高校生の時、親が許してくれていれば、俺の人生はこんなはずじゃなかった

…なんて恨みの感情に支配されてしまったら、それは悲劇ですよね。

社会人になってやっと自分のやりたかったことに挑戦するのと、親を説得して高校生のうちから具体的に行動するのとでは、どちらが有利でしょうか?
やらずに失敗するのと、挑戦して成功しなかったことと、どちらが人生のリスクが高いでしょうか?

プロダクション側のホンネ

一般的に、歌手オーディションは受かるのが難しい、と言われています。
その理由は、「今あなたにファンがついていなければ」ビジネスになりようがないから。

であれば、ファンを作りましょう。そのためには「事務所の協力が必要」です。だからあなたはオーディションを受けるのです。
しかしたとえ事務所と縁ができても、まだ「何者でもない人」がファンを獲得するのには、時間がかかりますよね。

例えば、歌を訓練し、曲も量産し、ライブや配信で浸透していくのは、上手くいったとしても年単位でかかることが常。未経験者はいずれにせよ、一から育てることが前提になるわけです。

  1. 社会人になっても、今から始めるのであれば「未経験者」
  2. 高校生は、基本的に「未経験者」

同じ未経験者であれば、高校生の(若い)うちから可能性に賭けられる人材がよい、というのがプロダクションのホンネです。

  1. 「23歳から育てて、27歳でメジャーデビュー」
  2. 「16歳から育てて、20歳でメジャーデビュー」

どちらかと言ったら、絶対、後者の方がメディアを巻き込みやすいですよね。

本質的に歌手オーディションでは、「将来この子はビジネスになるのか」を審査する場ですから、やはり価値が高い人材を採りたいわけです。
その点、高校生は、10代というだけで大幅に有利だと言えます。

歌手オーディションで志望者と対峙した際、審査員の感覚としては、「高校生である」というだけでプロジェクトの未来を描きやすいのです。アドバンテージを活かせるうちに、プロと組むチャンスを得ましょう。社会人になってから後悔しても、時間だけは取り戻せません。

歌手オーディションの注意点

高校生に対する注意喚起

「歌手として自己実現に踏み出すなら、やっぱり高校生のうちからプロダクションに入っておいた方がよい」、そうお話してきました。
しかし、闇雲に歌手オーディションを受けまくれば良いわけではありません。

高校生が音楽プロダクションを選ぶときに避けるべき3つのポイント

親の承諾なしに迎えようとするところ

高校生と直接的に所属契約をしようとしたり、育成提案をしたりする事務所はやめましょう。そもそも違法行為につながります。
ちなみに弊社では、オーディションの段階から親御さんの同伴が必要としています。進む道は、事務所・本人・親御さんの三者でタッグを組むことを重視しているからです。

レッスン料が高額なところ

前提として、芸事の世界に自己実現を求めるのですから、自己投資は必須でしょう。高校生というだけでアドバンテージはあっても、歌手として成立しなければチャンスは与えられないからです。
しかし歌手オーディションに合格しても、レッスン料が高額なところは、別の意図がありそうです。
月あたり3万円以上の育成費を取ろうとしたり、多額の入所金がかかったり、一括払いを前提としているプロダクションのオーディションは受けてはなりません。

創業して間もないところ

新規プロダクションは年間1000件以上立ち上がり、3年以内に7割が潰れるそうです。どうせ選ぶなら、さらに2年足して、5年以上存続しているところを選びましょう。
なお、事務所の大小は関係ありません。例えば近年売れてきている10人のメジャーアーティストの所属事務所を、任意に調べてみてください。名前も聞いたことのない事務所であるケースが多いと思います。
重要なのは、事務所の大きさではなく、レコード会社が本人を欲しがるか、どうか。
ただし創業して間もないプロダクションは、道の途中で、存在自体がなくなる可能性が高いのです。

こんな高校生志望者はイヤだ、3つの事例

最後に、歌手オーディションを主催するプロダクションの立場から、断りたい高校生志望者の例を挙げます。

親の承諾を得ずに応募する志望者

未成年のうちは、何をするにせよ、親の承諾は必要不可欠です。自分で自分の責任も取れないのに、親の意向を無視して大人の世界に飛び込もうとするのは、もはや罪。
承諾…というよりも、歌手を目指す自分を、心から応援してもらう状態づくりが先です。

歌手になるための積み上げをする気がない志望者

オーディションに受かれば、自動的に歌手になる道が拓けると勘違いしている人。
特に未成年の場合、オーディションの審査員は「育てる」ことを前提に向き合うはずです。もっと言うなら、「育てる価値があるか」が審査ポイント。
本人にやる気がないなら、そもそも将来の可能性は感じられないことでしょう。

すぐ気が変わりそうな志望者

高校生なのだから、マインドが不安定なのは当たり前。根拠のない不安と期待が、同時に湧き上がってくるような年齢だということは解っていることです。
しかし、歌手オーディションに合格させることは、むしろ事務所側のほうが圧倒的なリスクを抱えるという事実を知りましょう。
歌手の育成には、時間も費用もかかりますし、トラブル時のマネジメント責任も生じます。実際にプロジェクトが進んでから、「気が変わったから辞めます」なんてサラッと言われたら、大変な損害を被ります。
大人と同じ責任を負う必要はありませんが、高校生なりにしっかりした目的意識をもって臨んで下さい。

今回のまとめ
  • 高校生が歌手になるには、やっぱりプロダクションの力が必要
  • 歌手オーディションにトライするなら、高校生のほうが有利

「歌手になる」という定義をどこに持っていくかにもよりますが、「今の時代、自力でも歌手として成功を掴める」と甘く考えているようでは、痛い目を見ることになるでしょう。
なぜなら、人はそれほど強くないから。
高校生の場合、「自分に対する過度な期待からの大きな挫折」が、社会人になってトラウマ化する可能性があります。

芸事の道を歩むのであれば、必ずプロダクションに入り、セコンドになってもらいましょう

本コラムを読んでいるのが、歌手志望の高校生本人の場合、親御さんにも見てもらってください。