朗読コンテンツの難しさとは

オーディオブックの道はハード?のイメージ

オーディオブックは、近年ますます人気を集めていますよね。忙しい現代人にとって、通勤や家事の合間に「ながら読書」を楽しむことができるオーディオブックは、新しい読書スタイルとして定着しつつあります。この背景には、スマートフォンやタブレットの普及、そしてAudible(オーディブル)などのオーディオブック配信プラットフォームの登場があります。

ミュージックバンカーのオーディオブック・オーディションにも、かなり多くの方がエントリーしていただいております。

しかし、リスナーに感動を与えるオーディオブックの裏側には、ナレーターや制作者たちの並々ならぬ努力があります。特にナレーターは、ただ文章を読むだけではなく、登場人物の感情や物語の緊張感を声で表現するという高度な技術を要求されます。オーディオブックナレーターになることを目指す人々にとって、その道は決して平坦ではありません。

本記事では、オーディオブックナレーターの役割や日本におけるオーディオブック市場の将来性に触れつつ、担当ナレーターと制作者の双方が直面するコンテンツ制作の大変さについて詳しく解説します。

一度チャンスをください、是非トライさせてください

多くの志望者は、そう申し出るかもしれません。
しかし多くのナレーターは、なぜ簡単にチャンスをもらえないのか?

答え

オーディオブックの制作には、お互い高いリスクがあるから

登場人物B

えっ!どういうこと!?

今回は厳しいお話。
起用には、慎重に慎重な判断を要することを知ってもらいたいと思っています。

本記事を読むべき人
  • オーディオブックのナレーターを志望している皆さま
  • オーディオブック制作の難しさを知りたい方

オーディオブックのナレーターとは?

オーディオブックを収録するナレーター

オーディオブックとは、本をプロのナレーターが朗読した音声コンテンツのことです。まるで本を「聴く」ような感覚で楽しめます。
通勤中や家事の合間など、いつでもどこでも好きな時に読書を楽しむことができ、近年利用者が急増していますよね。

紙の本を読むのが難しい方や、新しい読書体験を求めている方におすすめ。主なメリットは、移動中などでも手軽に読書できること、文字を追う手間がないため集中して内容を理解できることです。

オーディオブックナレーターの役割

オーディオブックのナレーターは、書籍を音声で読み上げることにより、リスナーに新たな読書体験を提供する役割を担っています。彼らの声と表現力によって、リスナーは物語の世界に引き込まれ、登場人物や情景を鮮明にイメージすることができます。

ナレーターは、ただ文章を読むだけでなく、感情を込めて演じることで、リスナーの感情を揺さぶり、物語の深みを伝える重要な役割を果たすポジションと言えるでしょう。

日本におけるオーディオブックの広がり

日本では、オーディオブック市場が急速に拡大中。特に、通勤時間や家事の合間に「ながら読書」ができるという利便性から、多くの人々に支持されています。
Audible(オーディブル)をはじめとするプラットフォームが登場し、多彩なジャンルのオーディオブックが提供されるようになったことで、その需要はさらに高まっており、オーディオブックのナレーターとしての活躍の場も広がりつつあります。

オーディオブック収録の難しさ(ナレーター/制作者共通)

膨大な文字量の本

オーディオブック制作は、ナレーターと制作者双方に高いスキルが求められます。
ナレーターは、長時間にわたり集中力を維持し、正確な発音と語彙力によって文章の世界観を伝えなければなりません。一行一行「トチって」いたら、1000時間あっても収録は終わらないでしょう。

一方、制作者は、ナレーターの能力を引き出し、聴き心地の良い作品を作り上げるための技術が必要です。ナレーターのミスを漏れなく発見し、リカバリーしなければなりません。

両者にとって、高レベルの専門性と集中力が不可欠な作業と言えます。

長時間の収録と集中力の維持

オーディオブックの制作には、長時間の収録が必要とされます。一般的な書籍は何時間にもわたる収録が必要であり、その間、ナレーターは集中力を切らさずに読み続けなければなりません。
長時間にわたる収録は、体力と集中力を試される作業であり、ミスを減らすための高い集中力の維持が求められます。

収録された音声を確認していると、合間に、荒い息遣いや深呼吸、ためいきが入っていることもあります。
その過酷さ、想像できますでしょうか?

読む・話すといった基礎的な語彙力の高さ

オーディオブックナレーターは、読み上げる文章を正確に理解し、適切な発音とリズムで話す能力が求められます。
特に難解な用語や専門用語が含まれる場合、正確に発音し、自然なイントネーションで話すことが重要です。

もしナレーター、制作者共に漢字に弱かったら、間違った読みのまま収録を進めてしまうので、ミスの洗い出しとリテイクに膨大な時間を要する危険性があるのです。

オーディオブックナレーターにとっての難しさ

朗読原稿を手に

オーディオブックの収録は、数日にわたって行われることも珍しくありません。その間、常に高い集中力を維持し、最初の収録時と同じクオリティの音声を出し続けることは、並大抵のことではありません。まるで舞台の上で役者を演じているかのように、一貫した演技力が必要とされるのです。

このように、オーディオブックのナレーターは、正確な発音はもちろんのこと、豊かな表現力や高い集中力、そして物語を深く理解する力など、多岐にわたる能力が求められる仕事なのです。

膨大な文字量とストーリーのインプット

オーディオブックナレーターは、膨大な文字量を正確に読み上げる必要があります。
特に長編小説や学術書の場合、一度の収録で数十ページにも及ぶことがあります。そのため、事前にストーリー全体を理解し、登場人物や重要な場面を頭に入れておくことが不可欠。
また、その文字量から日をまたいで、数日にわたって収録することが一般的です。その際、読みの精度や質感が絶対に変わらないスキルも必要です。

異なるキャラクターの声色や感情の表現

物語には多くのキャラクターが登場し、それぞれの声色や感情を的確に表現することが求められます。ナレーターは、登場人物ごとに異なる声を使い分け、感情の起伏を表現することで、リスナーにキャラクターの個性や物語の流れを伝えます。
このような多様な表現力が求められるため、ナレーションは高度な技術と経験、なにより演技力が必要です。
(そういった意味では、小説より実用書の方が難易度は下がると言って良いでしょう)

オーディオブック制作者にとっての難しさ

オーディオブックを編集するディレクター

オーディオブック制作において、制作者は、収録された音声からノイズや息遣いなどを丁寧に除去する編集作業が不可欠です。膨大な量のデータを細心の注意でチェックするため、時間と労力がかかり、少しでもミスがあると、最初からやり直しになる可能性もあります。
特に長編作品では、このチェック作業が大きな負担となり、制作期間を大きく左右する重要な工程と言えるでしょう。

編集の細かさ、精度、スピード

オーディオブックの制作には、高品質な音声が求められます。そのため、収録後の編集作業が非常に重要です。
各種ノイズや異音、さらにはナレーターのブレス音までも丁寧にカットする必要があります。
編集の細かさが音声のクオリティに直結するため、制作者は緻密な作業を要求されます。
作業効率を上げるため、編集ソフトのショートカットを駆使し、精密機械のような正確さと素早さで作業しなければなりません。

収録物のチェック工程がとてつもないリスクに

収録された音声を全てチェックし、ミスや不自然な部分を修正する工程は膨大な時間と労力を要します。特に長編のオーディオブックでは、チェック工程が非常に大きな負担となります。
誤読や発音のミス、ノイズ残りや編集ミスを見逃さないよう、細心の注意を払ってチェックする必要があります。
この整音作業で見落としがあった場合、「その可能性」が発見されただけで、一からチェックし直しです。
コンテンツが15時間分の量だとすれば、見落とし発見の都度、「頭から15時間」聴き直さなければならないループに入ることになります(恐ろしい!)。

オーディオブックナレーターになる方法

マイク前に座るオーディオブックナレーター

  1. 「オーディオブック ナレーター募集」などのキーワードで検索をして、募集情報を探す。
  2. しかるべき環境に身を置き、声と読みの精度磨き上げ、感情表現を豊かにするなど、朗読技術を磨く。
  3. 長時間集中して収録できるだけの集中力と持久力が必要。

オーディオブックナレーター募集情報の探し方

オーディオブックのナレーターになるためには、まずナレーター募集情報を探す必要があります。インターネットで「オーディオブック ナレーター募集」などのキーワードで検索することで、募集情報を見つけることができます。

ちなみに、(2024年8月現在)このワードでトップに検索表示されるのは、当社ミュージックバンカーのオーディオブックオーディションです。興味ある方はエントリーいただければと思います。

オーディオブック朗読のコツと技術

オーディオブックの朗読には、いくつかのコツと技術があります。まず、適切なペースで読むことが重要。速すぎるとリスナーが内容を理解しにくくなり、遅すぎると退屈に感じられます。適度なペースで、文章のリズムやイントネーションに注意しながら読み、間に気を付けることが肝要ですね。

また、感情表現も重要。登場人物の感情や物語の緊張感を的確に伝えるためには、声のトーンや強弱を使い分ける技術が必要です。感情を込めた演技がリスナーを物語に引き込み、臨場感を高めます。

さらに、発声や発音の練習も欠かせません。クリアで聴き取りやすい声を出すためには、発声の基礎をしっかりと学び、適切な発音を心がけることが大切です。特に、長時間の収録では声が疲れやすいため、声帯のケアや発声のトレーニングが必要です。

しっかりオーディオブックの技術を学びたい方

当社運営の養成機関である「ライト声優スクール」にお越しください(トレーナーから推薦のある方は、お仕事を相談することもあります)。

おすすめの履修組み合わせ
  1. マンツーマンレッスン月2回
  2. オーディオブック演習
  3. 演技の総合演習

オーディオブックナレーターの適性

オーディオブックナレーターには、適性があります。
まずなにより、長時間にわたる集中力と持久力が求められます。収録作業は体力的にも精神的にも負担が大きいため、これを克服できる根気が必要です。

当社ミュージックバンカーの所属ナレーターも、収録中にブース内で男泣きをしていた事例があります。
疲労と、難易度の壁と、悔しさと。本当に過酷な現場なのです。
持久力、読みの精度、演技力など求められるスキルが多いオーディオブックナレーター。 成立するためには、朗読好き、というだけではとても太刀打ちできません。
しかるべき鍛錬を積んだ、一部の人だけがチャンスを得られる可能性があるのです。

今回のまとめ
  • オーディオブックの制作現場は超ハード。
  • オーディオブックナレーターを目指すなら、高い技術が必要。

オーディオブックのナレーターは、リスナーに新しい読書体験を提供する重要な役割を担っています。長時間の収録や高い集中力、豊かな表現力が求められる一方で、多くの人々に感動を届けるやりがいのある職業です。

ナレーターになるためには、適切な技術とスキルを習得し、継続的な努力が必要!

オーディオブック制作の難しさを理解し、それを乗り越えるための準備をしっかりと行うことが重要なのです。

オーディオブック市場は今後も拡大が見込まれています。
もしオーディオブック収録に耐えられるナレーターになることができれば、演者として大きなブランディングになることでしょう。
また、素晴らしい作品を生み出すナレーターとして、多くのリスナーに感動を届けることができるでしょう。
オーディオブックナレーターへの道は決して平坦ではありませんが、その先には充実感と達成感が待っています。あなたも、その一歩を踏み出してみませんか?