シンガーソングライターと歌手との違い・なり方・活動を広げる方法

シンガーソングライターとは、自ら作詞・作曲をし、その楽曲を歌う人です。自分の中にある思いや、日常で目にした情景を、言葉とメロディー、歌声を通じて作品にして届けます。ギターを抱えた弾き語りを思い浮かべるかもしれませんが、バンドの演奏や制作ソフトで作った音源に合わせて歌うなど、表現の形はさまざまです。
とはいえ、「歌手とは何が違うの?」「楽器が弾けなくても曲は作れる?」と、活動の姿がつかめない方もいるでしょう。スマートフォンに鼻歌を録音してみたものの、続きをどう作ればよいか分からない。自作曲をSNSで発表したけれど、次に何をすればよいのか迷っている。そんな悩みを持つ方もいるはずです。
活動を始めるときに、すべての技術をそろえる必要はありません。大切なのは、自分で担うことと、人の力を借りられることを知り、曲を作って届ける経験を重ねること。この記事では、歌手・作曲家との違いから、必要な力、活動を始める手順まで具体的に解説します。すでにオリジナル曲がある方に向けて、オーディションを含めた活動の広げ方も紹介します。
- 歌手との違いや必要なスキルを知り、自分の曲を作って歌い始めたい方
- 自作曲を発表しており、ライブやオーディションなど次の活動機会を探している方
- ミュージックバンカー代表:水谷 智明

- 株式会社ミュージックバンカー代表取締役。「エンタテインメントを通じて自己実現を推進する」をテーマにプロダクションを経営。前職はBEING GROUPにて、DJ ME-YA名義でサウンドプロデュースを担当。長年の業界から集積してきた幅広い知見で、独自の切り口から芸能マネジメント論を展開する。
シンガーソングライターとは?歌手・作曲家との違い

自分で曲を作って歌う。その短い説明だけでは、どこまで自分で手がけるのか、迷うかもしれません。歌詞もメロディーも作れるけれど、編曲は頼んでいる。ピアノは弾けるものの、ライブではバンドと共演したい。いずれも自然な活動の形です。ここでは、歌手・作詞家・作曲家との役割の違いを整理しながら、自分の表現を担うことと、他の人の力を借りることの関係を見ていきましょう。
作詞・作曲・歌唱を通じて、自分の音楽を表現する
シンガーソングライターの特徴は、言葉とメロディーを生み出し、自らの歌声で届ける点にあります。何を歌うかだけでなく、どんな言葉を選び、どこで声を強めるかまで、作品と歌唱をつなげて考えられる立場です。
たとえば、帰り道の寂しさを描いた曲。同じ歌詞でも、軽やかなメロディーに乗せれば前向きな余韻が生まれ、静かに歌えば孤独が際立つでしょう。その組み合わせに、その人らしさが表れます。
活動の形は、ソロの弾き語りに限りません。バンドと演奏する人も、制作ソフトで音を重ねる人もいます。一人で舞台に立つかどうかと、自作曲を歌うことは別の話なのです。
歌手・作詞家・作曲家との違い
「歌手とシンガーソングライター、どちらを目指すべき?」と考えていませんか。実は、歌手は歌う人を指す広い呼び方であり、シンガーソングライターもその中に含まれます。
| 呼び方 | 主に担う役割 |
|---|---|
| 歌手 | 歌唱によって楽曲を表現する |
| 作詞家 | 楽曲の歌詞を作る |
| 作曲家 | メロディーなど、楽曲の音楽的な骨格を作る |
| シンガーソングライター | 自ら作詞・作曲し、その楽曲を歌う |
これらは役割の目安です。歌手が一部の曲で作詞を担当したり、作曲家が自身の作品を歌ったりすることもあります。肩書きを先に決めるより、自分が制作のどの部分に関わりたいかを考えると、目指す活動が見えてきます。
編曲や楽器演奏も、すべて自分でする必要がある?
作詞・作曲と、編曲・演奏・録音は、それぞれ異なる工程です。編曲とは、楽器の組み合わせや伴奏、曲の展開などを整え、楽曲の聴こえ方を具体化する作業。自分で作った歌詞とメロディーを、編曲家や演奏者と相談しながら音源に仕上げる方法もあります。
何でも自分でこなそうとして、肝心の曲が完成しない。それでは、届ける機会も遠のいてしまうでしょう。メロディーは歌って録音し、伴奏は協力者に相談するなど、今できることから進めて構いません。
ただし、人に任せる場合も「サビでは気持ちが開ける感じにしたい」といった意図は伝えたいところです。すべての作業を抱えることより、作品で何を伝えたいかを持つこと。共同制作でも、その軸が判断のよりどころになります。
シンガーソングライターはどんな活動をする?

曲ができた瞬間は、うれしいものです。けれど、スマートフォンの録音を聴き返しながら「ここから、どう届けよう」と手が止まることもあるでしょう。活動の中心になるのは、曲を作り、発表し、聴いた人の反応を次の制作につなげること。音楽配信、ライブ、動画など、届け方には複数の選択肢があります。今の自分に合う発表の場と、無理なく続けられる活動の進め方を考えてみてください。
オリジナル曲を作り、音源として発表する
音源を発表するまでには、作詞・作曲した楽曲に伴奏をつけ、歌や楽器を録音し、音量や音のバランスを整える工程があります。音楽配信サービスに届ける場合は、配信代行サービスなどを通じて登録する方法が一般的です。
ただし、最初の発表から大がかりな制作を目指す必要はありません。自宅で録った弾き語りでも、歌詞やメロディーの魅力を伝えることはできます。歌声が聴き取れるか、途中で音が割れていないか。聴く人の立場で確かめることが出発点です。
制作を人に依頼するときは、完成形のイメージに加え、費用、納期、修正できる範囲を事前に共有しましょう。共同で作詞・作曲するなら、誰がどこを担当したかも記録しておくと、発表時の確認が進めやすくなります。
ライブや動画・SNSで楽曲を届ける
ライブでは、その場で歌を届けられます。動画は歌う表情や演奏を含めて作品を伝えられ、SNSでは新曲の一節や制作途中の気づきも発信できるでしょう。発表の場によって、伝わりやすい魅力は異なります。
たとえば、歌詞をじっくり聴いてほしい曲なら、言葉が聴き取りやすい歌唱動画を用意する。観客との掛け合いが魅力なら、ライブ映像で空気感を伝える。作品の持ち味から、届け方を選ぶ視点が大切です。
反応を見る際も、再生数だけで結論を急がないこと。「この歌詞が好き」と感想が届いたのか、ライブの予定を尋ねられたのか。相手が何に心を動かしたかを拾うと、次の発信を考える手がかりになります。
個人で活動する方法と、事務所などと協力する方法
個人で活動する魅力は、制作や発表の方針を自分で決めやすいことです。その分、出演の相談、告知、制作費の管理といった仕事も自分で担います。曲作りの時間が足りなくなったら、負担の大きい作業から協力者を探す方法もあるでしょう。
一方、事務所などと協力する場合は、制作や宣伝、出演交渉などの支援を受けられることがあります。ただし、その範囲は相手や契約によって異なります。
所属すれば何を任せられるのか。費用は誰が負担し、作品や活動の方針はどう決めるのか。期待を具体的な項目に置き換え、確認することが必要です。自分が続けたい活動を明確にするほど、必要な協力も見えてきます。
シンガーソングライターに必要な4つの力

歌がうまくなってから曲を作ろう。作曲を覚えてから発表しよう。そう考えていると、始める時期が遠のいてしまいがちです。作詞・作曲・歌唱・発信は、実際に作品を作り、届ける中で磨いていけます。今の自分に足りないものを一度に埋めようとせず、曲を完成させるために何が必要かを考えてみましょう。ここでは、制作から発表までを支える力を、具体的な練習の方法とともに紹介します。
思いや情景を言葉にする作詞力
「寂しい」「うれしい」だけでは、ほかの曲との違いが伝わりにくいことがあります。その気持ちが生まれた場面まで描くと、聴く人が自分の経験と重ねやすくなるでしょう。
たとえば「別れが寂しい」を、「改札の向こうで、君の傘だけ見えなくなった」と表す。同じ気持ちでも、景色が浮かびます。これは作詞のための架空の例ですが、日々のメモでも使える考え方です。
帰り道や友人との会話で心が動いたら、場所、目に入ったもの、言えなかった言葉を残してみてください。難しい表現を探すより、自分が何を見て、どう感じたかを掘り下げることが、その人らしい歌詞につながります。
言葉をメロディーにする作曲力
作曲は、短い鼻歌からでも始められます。スマートフォンに録音し、言葉を乗せて歌ってみる。息が続かない部分や、言いにくい箇所を直していくうちに、フレーズの形が見えてきます。
音楽理論は、思いついた音を整理したり、行き詰まりを解いたりする助けになります。ただ、知識が十分に身につくまで制作を待つ必要はありません。
サビだけ作って止まっているなら、その前後にどんな気持ちの変化があるかを考えてみましょう。静かな始まりから、言えなかった本音へ向かう。短くても最後まで完成させる経験が、次の曲を作る足場になります。
楽曲の魅力を伝える歌唱力・表現力
音程やリズムの安定は、歌を届ける土台です。そこに、言葉の意味をどう伝えるかという視点が加わります。声量があるだけで、歌詞が届くとは限りません。
自分の歌を録音したら、歌詞を見ずに聴いてみてください。大切な言葉が聴き取れるか、息継ぎで意味が途切れていないか。確認する点を絞ると、直す場所が分かりやすくなります。
ささやくように歌うのか、感情を強く出すのかも、曲によって変わるでしょう。歌詞を書いたときの気持ちが、歌声でも伝わっているか。自作曲だからこそ、そのつながりを確かめたいところです。
自分の音楽の特徴を伝える発信力
「いろいろな人に聴いてほしい」は自然な願いです。ただ、活動紹介でそれだけを伝えても、初めて見る人は、どんな音楽なのか想像しにくいかもしれません。
たとえば「仕事帰りに一人で聴きたくなる、日常の迷いを歌うポップス」と紹介すれば、聴く場面が浮かびます。ジャンル名に加え、題材や歌声の特徴を、自分の作品に即して言葉にしてみましょう。
プロフィールで伝えた特徴と、紹介する曲の印象がつながっていることも大切です。無理に目立つ肩書きを作る必要はありません。聴いてほしい曲を選び、その魅力を短く説明することから始められます。
シンガーソングライターになるには?活動を始める5ステップ

必要な力が分かっても、今日何をすればよいのか迷うかもしれません。練習する項目を増やすより、曲を作り、録音して、誰かに聴いてもらう流れを小さく経験してみましょう。途中で歌いにくさや伝わりにくさに気づいたら、そこが次の練習課題になります。今の技術や使える時間に合わせて進めて構いません。好きな音楽を聴くところから、自作曲を持って次の機会を探すところまで、順を追って紹介します。
①好きな曲を聴き、自分が作りたい音楽を探す
繰り返し聴いている曲の、どこにひかれるでしょうか。歌い出しの言葉なのか、サビで音が高くなる瞬間なのか。「好き」を具体的にすると、自分が大切にしたい表現が見えてきます。
気づいたことは、短くメモしてみてください。参考曲の歌詞やメロディーをそのまま使うのではなく、心が動いた理由を自分の制作に生かす視点が大切です。
②短くてもよいので、オリジナル曲を完成させる
最初の曲は、短い形でも構いません。伝えたい場面を決め、言葉を書き、鼻歌でメロディーを探してみましょう。
途中で行き詰まったら、使う言葉や曲の展開を減らす方法もあります。完成まで進めることが、その曲に足りないものを知る機会になります。直したい箇所は残しておき、次の制作にもつなげてください。
③録音して、歌と曲を聴き直す
スマートフォンを使い、歌の始まりから終わりまで録音してみます。歌っている最中には気づかなかった、言葉の詰まりや伴奏とのずれが聴こえてくるでしょう。
一度にすべてを直そうとせず、「歌詞が聴き取れるか」「無理なく歌える高さか」など、確認する点を絞るのがこつです。録り直した音源と聴き比べると、改善した部分も確かめられます。
④ライブやSNSなどで人に聴いてもらう
曲がまとまったら、知人に聴いてもらう、小規模なライブに出演する、歌唱動画を投稿するなど、今できる発表方法を選びます。
感想を聞くなら、「どうだった?」だけでなく「印象に残った言葉はあった?」と尋ねてみてください。反応が少ない場合も、曲そのものに加え、音の聴きやすさや紹介文、届けた相手を見直す余地があります。
⑤活動状況に合わせて、次の機会を探す
発表を続ける中で、次に取り組みたいことを整理しましょう。ライブを増やしたいなら出演先を調べる。音源を仕上げたいなら、編曲や録音の協力者を探す。自作曲を持ち、活動の支援を求める段階なら、オーディションも選択肢になります。
「何となく応募する」から一歩進めて、何を実現するための機会かを考える。その目的が、募集内容や活動方針を比較する際の判断軸になるはずです。
自作曲ができたら、シンガーソングライターとして活動を広げよう

自作曲を発表できたら、その曲を次の機会につなげる準備をしてみましょう。「作品を聴いてください」と伝える場面では、曲の選び方や紹介の仕方も大切になります。たとえば、ライブ出演を相談するときと、制作の協力者を探すときでは、相手が知りたいことも違うはずです。ここでは、自作曲を持つ人の仮想の活動エピソードを交えながら、代表曲の整理からオーディションの検討まで、具体的な進め方を紹介します。
代表曲とプロフィールを整理する
自作曲を発表している人が、ライブハウスの出演担当者へ連絡する場面を想像してください。音源のリンクをいくつも並べ、「どれでも聴いてください」と送ったら、相手は何から再生するか迷うかもしれません。
そこで、自分の歌声や作風が伝わる代表曲を選び、「日常の小さな別れを、柔らかな歌声で描いた曲です」と紹介を添える。弾き語りで出演したいなら、その演奏が分かる映像も用意します。相手が出演時の姿を思い描きやすくなるでしょう。
プロフィールには、活動名、音楽の特徴、これまでの発表や出演歴、連絡先を簡潔にまとめます。実績が少なくても、無理に大きく見せる必要はありません。何を作り、どんな形で届けている人なのかが伝わる資料を目指してください。
自分の音楽を、どんな人に届けたいか考える
新曲の動画を投稿したものの、再生が伸びず、次は流行の曲調に変えようかと悩む。発表を始めた時期には、そんな迷いもあるでしょう。
ここで、ライブ後に届いた「仕事帰りに聴いて、少し気持ちが軽くなった」という感想を思い出したとします。その言葉は、自分の曲が誰の、どんな時間に届いたかを考える手がかりです。次の投稿では、歌詞が聴き取りやすい部分を選び、曲を書いた背景を短く添える方法もあります。
一人の感想だけで方向性を決める必要はありません。それでも、数字とともに具体的な反応を振り返れば、試したい届け方が見えてきます。制作と発信を行き来しながら、自分の音楽と聴き手の接点を探していきましょう。
オーディションを、活動を広げる選択肢にする
自作曲を持つ人が、応募用の音源を選んでいるとしましょう。高音がよく出た曲にするか、自分らしい歌詞の曲にするか。迷ったら、応募先の審査項目に戻ることが大切です。
ミュージックバンカーの公式募集要項では、歌唱力に加え、オリジナル曲の質と曲数、アーティストコンセプトを審査ポイントに挙げています。自分で作詞・作曲でき、オリジナル曲を持っていることも応募条件です。編曲までできることは望ましい条件として記載されており、必須条件とは分けて読む必要があります。
応募準備では、音源や歌詞をそろえるとともに、「どんな題材を、どんな音楽で届けたいか」を自分の言葉で整理してみてください。合格後の活動内容や支援の範囲も確認し、目指す方向と合うかを検討しましょう。
オリジナル曲を持ち、次の活動機会を探している方は、応募条件と審査内容を確認してみてください。
シンガーソングライターについてよくある質問

- 独学でもシンガーソングライターになれる?
- 独学でも、作詞・作曲や作品の発表を始められます。好きな曲の構成を調べ、自作曲を録音して聴き直すなど、制作と練習を重ねましょう。歌い方や曲の展開で行き詰まったら、その課題に合わせてレッスンや添削を受ける方法もあります。
- ギターやピアノが弾けなくても活動できる?
- 楽器が弾けなくても、歌ってメロディーを録音し、制作ソフトで伴奏を組み立てたり、演奏者に協力してもらったりする方法があります。楽器の基礎を学ぶと作曲や意思疎通に役立ちますが、習得を待たずに曲作りを始めても構いません。
- 一人ですべての制作をこなす必要がある?
- すべてを一人で担う必要はありません。自分で作詞・作曲し、編曲や演奏、録音を他の人に依頼する活動方法もあります。依頼する際は、目指す仕上がりや費用、担当範囲、完成音源の利用条件を共有し、認識をそろえて進めましょう。
- オリジナル曲がなくてもオーディションに応募できる?
- 応募条件は募集ごとに異なります。ミュージックバンカーのシンガーソングライター枠は、自作曲を持ち、作詞・作曲の両方ができることが条件です。活動未経験者には通常の歌手オーディションが案内されています。詳しくは公式募集要項をご確認ください。
- これから始める方は、今ある言葉や鼻歌を出発点に、短くても自分の曲を完成させてみてください。
- 自作曲がある方は、代表曲とプロフィールを整え、自分の音楽に合う発表の場や協力者を探しましょう。
シンガーソングライターは、自ら作詞・作曲し、その楽曲を歌う人です。編曲や演奏で他の人の力を借りながら、自分の表現を形にすることもできます。必要な力は、制作と発表を重ねる中で磨いていけるでしょう。
スマートフォンに残した短いメロディーも、書きかけの歌詞も、曲の始まりになります。今日、その続きを少しだけ作ってみませんか。すでに作品があるなら、次は誰に、どう届けるかを考える番です。
ミュージックバンカーでは、シンガーソングライターを募集しています。自作曲を持ち、活動を広げたい方は、応募条件や審査内容、合格後の活動方針を確認し、自分の目指す方向と合うか検討してみてください。
