本記事は、【芸能界】「夢食いビジネスに騙されるな」という「すり替えビジネス」に騙されるな のアンサーコラムです。先にそちらをお読みください。

芸能事務所のイメージって、なんとなく悪い

芸能界搾取構造のイメージ

芸能界=搾取というイメージは昔からありますよね。
商材になり得るのは心を持った人間であり、その人間は他人に代わりがきかない唯一無二の商品になりたい。そしてその人間をフックアップするのもまた人間であり、ここは思惑が渦巻くビジネスの世界である。

なにやら、きな臭いです(笑)
しかし、俯瞰して論理的に考えましょう。

本記事を読むべき人
  • 芸能界を目指す若者や新人タレント志望者
  • 芸能事務所やマネジメント企業の運営者・スタッフ

芸能界に搾取なんて存在しない?

悩む男性タレント

T氏T氏

芸能界には搾取構造が存在し、登録料やレッスン料が高額であるにもかかわらず、多くのタレントは十分な収入を得られていない

T氏は自身も過去に搾取されてきたと認識しており、一般的にも昔からそういうイメージがあることは間違いないことです。
しかし、結論からハッキリ言います。

本質的には、芸能界に搾取など存在しません。

それは誰が望んで始めたことなのか?

搾取とは、他人に帰属すべき権利や利得を不正に侵害したり取得したりすること。「帰属すべき権利」の定義から間違っていると、スタートから躓くことになります。
芸能界があなたから、あなたに帰属する権利を奪ったことなど、一度でもあったでしょうか?

T氏はこう言います。

T氏T氏

多くの養成所は、例えば入学金で60万円とか、レッスン料名目で月に3万円~5万円がかかる一方、オーディションでさえ案件は少ない。

まあ確かに高い印象はありますし、私だったらそんな所には入らない!

しかし、60万円は「入学する権利の対価」であり、3万円~5万円は「レッスン料の対価」です。

権利とサービス提供を、入所したタレントは事実上享受しているわけですし、もとよりあなたが自ら門を叩き、自らが望んで(納得して)契約を巻いたのでしょう。
その話と「オーディション機会の有無」にどんな因果関係があるというのでしょうか?

「これだけ払えば、これだけの仕事を振りますよ」

という書面を交わして事務所が反故にしているのであれば立派な詐欺行為。ですが、そんな養成所があったら一瞬で潰れているはず。
長くこの業界にいる私の雑感からすれば…
むしろ契約をしてから、言いがかりをつけて約束を反故にするタレント志望者の方が圧倒的に多い印象です。

日常的な話、何かに期待してお金を払った人は、期待通りのリターンを得られなかった場合、相手なり環境のせいにして自己弁護や正当化をしがち。これは芸能界に限ったことではありません。

剥がれ落ちるタレント側の腹積もりと期待

登録料やレッスン料を支払った「タレント側の腹積もりと期待」が、現実から剥がれ落ち、自分がチャンスを得れなかった(売れなかった)ことを、後出しで事務所、マネージャー、業界のせいにして正当化する。そういう人たちばかりだから、それがコンセンサスになっている、これが実情です。

「タレントは弱者、事務所は強者」というイメージが先行しているのでミスリードされがちですが、その認識も20年古い。今や立場は逆、とまでは言わないですが、事務所がタレントに、不要なモノを強制的に売りつけられる時代ではないのです。

その前に、事務所や芸能界自体が、タレントから何かを搾取して得られる利益など何もない。

レッスンが必要なのは誰?

演技レッスンを楽しむタレント志望者

レッスン費などが、搾取の土俵として語られることは多いです。
しかしちょっと待って。レッスンというものは、芸能で身を立てようとするタレント志望者にとって、「自分がなりたい自分になるため」に「自らが必要としていること」でしょう?

実力不足はチャンスがもらえない理由の一端。
「そのチャンスを得るためにレッスンがどうしても必要だ」と主張するのは、そもそも事務所ではなく、タレントの方でなければオカシイのです。

環境は必ずタレント志望者が自ら選択している

「それが高額であるのが問題」という議論が「REAL VALUE」でも展開されていましたが、高い安いの価値観など人それぞれです。ラーメン1杯1000円が高いと思う人は、700円の店に行けばいいし、2000円出しても満足できる店に入りたい人はそこで注文すればよい。満足感は自分のモノサシでどうぞ、それだけの話です。

金額の大小関係なく、そもそも自己投資を他人が負担してあげる道理など1%もありません。
自ら必要なレッスンは、自分の身の丈に合った環境で自ら選んでください。その環境を選ぶ権利、そして結果責任はタレント側にあるはず。

誰も勧誘などしていない。あなたが望んで門を叩いた、という事実をすり替えてはなりません。

ただし、事務所側が「この案件のために、このタレントに、このレッスンを提供したい」という具体的な目的があるなら話は別です。専属マネジメント契約でタレントを管理し、その代わりに育成費用負担をする。
そこには道理があり、例えば弊社もそうしています。

その建付けの違いを理解することが、議論のスタート。「やりたいことは自分でお金を出す、誰かがやってもらいたいことを自分がやるのならお金をもらう」
世の原理原則です。

もちろん事務所側に問題もある

事務所側も詐欺だとか搾取だとか言われても致し方ないという落ち度も存在します。しかし、それはT氏が言うように、入所金やレッスン料が高いことではありません。

後にタレント志望者たちが気づくであろう現実やリスク、契約の内容や業界の実態や収益構造など、説明責任を果たさないでタレントたちからお代をいただくことです。

なぜ説明しないのでしょう?
ひとつは、事務所側のスタッフもよく解かっていないからです。事務所側も素人、タレント側も素人、これではトラブルや誤解が生まれて当たり前。
またタレント側の「思い違い」をわかっていながら、運営をしている事務所も確かにあります。

実は大手(に見える)事務所ほど、その傾向が強い

なんて聞かされたら、皆さんはどう思いますかね?

一般のタレント志望者たちがよく目にする、見た目は大きそうなプロダクション。派手な広告でよく見るオーディション。
そもそも、そういうところのオーディションで「不合格になる」ことは、まずありえないです。「全員」合格します。

何故なら大手であればあるほど、養成所ビジネスで成り立っているからです。皆さんの親でも知っている事務所は、「情弱ビジネスがうまい会社」なのかもしれませんね。
「みんなからお金を引っ張ってきて、安定した収益基盤があるから大きいんだ」と気付かなきゃ。

でも、そういうところも決して搾取しているわけではないことは、改めて強調しておきます。
事務所はみんなの将来を約束していないし、騙してもいない。
ただ「タレント志望者が勝手にしている期待と勘違い」を解っていながら、そこを詳らかにせず迎え入れるのは、確かに誠意がないと私も思います。

合格=レッスンの違和感

あと一般的に「合格=レッスン」と理解している人が多いですよね。でも、ここは根本的に疑ってかかったほうが良いですよ?

本質は真逆です

合格なのに、なぜレッスンが必要なのでしょう?「このタレント、売れる」と思ったから、合格なのではないのでしょうか?
冷静に考えれば、合格なのにレッスンが必要で、それを合格者が払うのっておかしいと思いませんか?
「合格!はい、レッスンいくらです、登録料いくらです」の構図は、まず違和感を覚えるところから始めましょう。

合格たる水準に達してないから、もっと言えば「不合格だから」こそレッスンが必要なのではないのですか?

自分が審査員だったら自分を合格にしますか?

自分でもNOなのに、「YES、合格」と言われたら、喜んでいる場合ではありません。その後に待っているのは、お金をもらう話ではなく、必ずお金を払う話だからです。

ただ、おかしい話ではありますが、これも別に搾取ではありません。
契約した後になって、詐欺だ詐欺だと騒ぎ立てるのは、人として恥ずかしい話。需給が成り立った契約に、詐欺もへったくれもない。
その前に、ご自身が正しいモノサシを持つべきなのです。契約を巻いた後に、後から搾取だと言ってお金を支払わないのなら、逆にタレント側が詐欺行為をしています。

なお、ミュージックバンカーは創業以来一貫して「合格=レッスン」を否定してきました

レッスンが必要な段階の人を、絶対に合格にはしないです。
その代わり、その水準に達していない人に対してレッスンを提案することはあります。
それこそ日本で一番安いような水準ですからね。

「無理のない範囲でベストを尽くす、が前提で、ご自身がどうしても必要だと思うなら先生を紹介しましょうか?」というスタンスで話します。

不合格。でもせっかく出会った縁、「合格たる根拠」を今から一緒に作っていきましょうか。

の方が実りありませんか?

タレントコミュニティという概念

タレントコミュニティのイメージ

T氏の問題提起の、表層部分には賛同する部分はあります。が、違和感もあります。
なぜなら、TB社は大手芸能事務所のシステムより安いというだけで、入会金も、会費も、違約金も事実取っているわけで本質構造は同じだからです。
タレントコミュニ―ティーという名の下、徴収名目がすり替わっているだけに見えます。

であれば、「レッスン費はレッスンの提供対価としていただきます」という方がまだクリアな感じしませんか? 実があるというか。

T氏T氏

専属契約の芸能事務所の倒産・廃業が増加している現状を踏まえ、タレントコミュニティという新しい形が今後成長していくと考えている

とT氏は言います。
ただそれは、昔からある「登録タレントオフィス」そのものであり、マネジメントではなくエージェントであるだけのこと。新しくも何ともありません。

そもそも、T氏が論理のスタートからして間違っているのは、「エキストラ=タレント」と定義しているところです。
もとよりエキストラを専属契約するところなど、見たことも聞いたことも無いですよ(笑)

逆にちゃんとタレントをタレントとして取り扱うのであれば、専属契約をしなければ成り立ちません。なぜなら事務所にとって様々なリスクがあるからです。
例えば、タレントのために多くのリソースを割いてて案件付けをしたのに、翌月によそに行ってしまう、などの想定。

今回のまとめ
  • 「搾取」の本質は、タレント側の期待と現実のギャップから生まれる
  • 「合格なのにレッスンが必要」という構図は本質的に矛盾

芸能界の課題に切り込むT氏自身が、過去にタレントとして足がかりも作れなくて哀しみを覚えたことも、周りが自分の思惑通りに動かなくてイライラしたことも容易に想像はできます。皆そうですからね。

しかしその経験があるがゆえに、運営側に回った時、情弱であるタレント志望者に隠したい本質を隠すことに長け、表向きの課題をスケープゴートにして希望を持たせる切り口で組織展開しているように見えます。
農民出身の豊臣秀吉は、決して農民の味方ではなかった、と同じなのではないでしょうか。

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40歳以上 シニアタレントの募集