未経験者が声優オーディションに受かるためのヒント

声優オーディションのイメージ

声優は芸事の世界。だから実績がある人のほうがオーディションに受かりやすい、と思っていませんか?
必ずしもそうではないかもしれません。その理由未経験者が声優オーディションに受かるためのヒントを上げてみたいと思います。

本記事を読むべき人
  • 未経験でも声優オーディションにチャレンジしたい人
  • 未経験者が声優オーディションに合格するためのコツを知りたい方

未経験者が声優オーディションに不利とは限らない理由

4つのポイントから検証してみましょう。

1,未経験者にとってスキルより重要なこと

キャスティングの現場で、新人声優がお仕事を獲得する際に最も重要なことは何でしょうか?
熟練されたスキルではありません。「この子を推したい・育てたい」と思わせられるか、これだけです。

確かに「キャラクターに合った声か」「演技力はあるか」「アテレコ現場で通用する技術は持っているか」といったファクターも重要です。

しかし、声優業界は人が人をフックアップする世界
つまり「あなたでなければならない理由」がなければ、チャンスをもらうことは難しいのです。
言い換えれば、たとえ経験者であっても、「この子を何とかしてあげたい」と思われなければ起用されることはない。

特に昨今は、アニメ作品のキャスティング機会に対して、ピンからキリまで声優人口は多すぎる時代。
キャラクター合った声を持った人も、演技力がある人も、アテレコ技術がある人も、代わりはいくらでもいる、という理解からスタートしましょう。

であれば、未経験者が声優オーディションを受けるにあたって、どこで勝負すべきか。
  • ずばり、人柄です。

なぜなら、あなたが差別化できる唯一のポイントだから。
ほかに変わりが効かないファクターは、あなた自身のアイデンティティに他なりません。
声優としての実経験より、「人として相手の心を掴めるか」が重要であるなら、未経験者でもオーディション合格のチャンスはあるということ。

「選ばれやすい声優」が欲しいはずなので、所属声優オーディションであっても、事務所は自ずと人柄を第一義にジャッジします。

2,声優養成所や専門学校に通うことは、はたして必須なのか?

かつてわが社の所属声優を推すために、某アニメプロデューサーと会食をしていた時のこと。
新人声優をフックアップする際のポイントを、いくつか教えてくれました。

求める新人声優
  1. 業界全体で育てたいと思えるか
  2. 若い年齢であるか
  3. 素直でいい子で、マインドがあるか

ほとんど「人」に関するポイントですよね。
(2に関しては、意外と深い理由もありますが、またの機会に解説します)

スキルに関して問うことは、ほとんどないそうです。
なぜなら、「新人は現場で育てればよい」「プロの見地からはどうせドングリの背比べだし」という認識だから。
日々プロの現場に携わっているアニメ業界の人たちにとっては、新人声優における多少の技術力など、意にも介さないという話。

年間何十万円、何百万円もかけて声優養成所や専門学校に通ったからと言って、自動的に道が開ける世界ではなさそうです。
確かに、そういう場所に通った人たちの母数に対して、実際に「声優として生計を立てられている人」は0.1%未満であることを考えると、腑に落ちますね。

もちろん最低限のスキルは必要なので、声優の勉強や特訓はマスト

ここに目が向かない人は、上記3の「マインド」の無さを証明することになります。
ただしそれを、金銭的な負担も大きい声優養成所や専門学校で行う必要があるかどうかは、よくよく考えたほうがよさそうです。
プロからしてみたら、「所詮学校レベル」と一蹴され得る程度のことだから。

3,身の丈に合った声優事務所にとにかく入っちゃおう

学校選びに悩んでいる時間があるなら、今の自分の身の丈に合った声優事務所に、1日でも早く入り込むことのほうが得策かもしれません。
事務所にだってレッスンはあるでしょうし、実際のお仕事がある環境と隣接したところで訓練した方が、具体的なキャリアアップに直結します。

小さなキャリアがいっぱい積まれてから、大手事務所に引き抜かれればいいと思いませんか?

声優養成所や専門学校に通う、まわりのみんなと同じ道を行く方が危険かもしれません。
それよりも、誰も気づかない裏道を回って、先にゴールにたどり着きましょう。

とにかく「推したい・育てたいと思われる自分」を磨くことにまい進。スキルは、事務所や現場の環境で獲得できます。
たとえ学校に通ったとしても道は保証されませんが、一旦業界に入ってしまえば何とかなる
強い目的意識やマインドが示せれば、未経験者でも声優オーディションから道を拓くことは難しくありません

4,声優経験者が所属オーディションを受けるとどう思われる?

未経験者が声優オーディションで必ずしも不利とならない理由を、逆の角度からみてみましょう。

私が運営するプロダクション、ミュージックバンカーでも創業当時から声優オーディションを開催しており、所属声優の発掘を行ってきました。
これまで1500人近くの方と面談してきており、半数の方は未経験です。
ただ中には、わが社より上位のプロダクションに在籍していた経験豊かな声優さんもエントリーしてきます。
理由は様々。

  • 元事務所ではライバルが多すぎて上を目指せない
  • 事務所の方針が合わず辞めた
  • クビになった

(在籍していたといっても、預かりレベルはさておき…)
元上位プロダクションの正所属だった声優さんは、初見のアテレコ審査も難なくこなし、技術的にはさすが申し分ない。
プロフィールシートに書かれている経歴もばっちり。

でも、私は警戒します。
なぜなら理由はどうあれ、事務所を辞めたということは、最後まで務まらなかった事実があるからです。
例えば「人間性に問題あるのかな」とか、「使いづらいんじゃないだろうか」とか、思ってしまうのです。

実績があることを背景に、プライドが高い人もいます。
それが悪いわけではありませんが、オーディション審査する側、される側という関係においては、ネックに感じることは多い。

声優オーディションで、経験者を目の前にして、事務所側が重視するポイント。

それは、「この人が所属声優になることで、うちの事務所はメリットがあるのか」ということです。
例えば、「この人ならあの案件が成立するのか」または「うちの事務所に仕事が増えるのか」ということ。
声優としてのスキルや実績があるのは、経験者なのだから当たり前です。
そのうえで、「人として一緒に仕事がやりやすいか」が最終判断の要因になります。

未経験者と比べて、格段にハードルが上がりますね。
中途半端な声優経験者では、一から出直す覚悟が必要になりそうです。
とにかく、

大手事務所出身で、いちど戦線から外れてしまった声優は使いづらい。

これが業界のホンネです。
声優は、経験がありすぎても敬遠されてしまう、という話でした。

一方、未経験者の場合はどうでしょうか?
「この子を育てたい」「育てれば可能性はあるかも」など、今ではなく、未来に対してワクワクを感じられればOK。
だから、未経験者の方が声優オーディションで有利とも言えるのです。

未経験者が声優オーディションで気を付けたいこと

声優オーディションに臨む未経験者

未経験者は、声優としての技術や実績で勝負しなくてもよい(有利!)
その代わり、「この子を推したい・育てたい」をとにかく感じさせる。であれば、声優オーディションに臨む際、どういうポイントに気を付けるべきなのでしょうか。

ごく簡単で、当たり前の話です。

  1. 明るくて前向きな印象をみせる
  2. 一生懸命やる
  3. あいまいでフワフワした発言を控える

1,明るくて前向きな印象をみせる

オーディションで審査されているのは、声よりむしろ人柄や人格
「この人を迎えたいな」と思わせることが重要なのは、言うまでもありません。
前述したように、声優業界は「人が人をフックアップ」して成り立っています。
誤解を恐れずに言いますが、上から可愛がられなければ、チャンスはないのです。

明るくて前向きな印象であり、一方で向上心や謙虚さがある。
ぜひ、そんな人であってください。
もし、そうでないとしても、せめて演じましょう(笑)
声優は、そもそも根本的には役者。自分の本質を見抜かれてしまうようでは、お話になりません。

2,一生懸命やる

オーディション現場でどんな課題が出されても、ただただ一生懸命にやるのみ。
声優未経験者なのだから、できなくて当たり前です。

ひたむきさや、フレッシュさを感じさせてください。
失敗しても、それを認め、さらに自ら課題点を分析できれば一目置かれることでしょう。
「この子は成長しそうだな」という評価になるはずです。

あいまいでフワフワした発言を控える

声優オーディションは、会社の入社面接とは違いますが、「入りたいと思っている人」を「迎え入れる人」がジャッジをする場であることは変わりません。

すべての質問に対する回答は、自己PRや志望動機につながるべきです。
なぜ声優を目指すのか、なぜこの声優オーディションを受けたいと思ったのか、この先のビジョンはどう描いているのか、など、想定しうる質問には明確に答えて下さい。

なにを質問されても、5秒ほど間が空き、蚊の鳴くような声で、フワフワした応答をしていると、審査員は「向き合うだけ時間の無駄」と嫌悪感をいだくことでしょう。
客観的にも、そういう人が声優=役者として成り立つとは思えませんよね。

未経験者が声優オーディションにあたって準備するもの

ボイスサンプルを収録する声優

声優オーディションに臨む際は、下記の準備をしましょう。

履歴書(プロフィールシート)

本来は活動実績をメインに書いていきたいところですが、未成年者が声優オーディションを受ける場合、ほとんど書くことはないはずです。
であれば、自己PRと志望動機を書くことに全霊を込めましょう
審査員の心を動かせればOK。自分が審査員だったらどう思うか、感じるかを、想像しながら読み手の立場になって、考えてください。

宣材写真

宣材写真は、未経験者でもプロ声優に勝てる、数少ない要素の一つ。
きちんとオーディション用の写真を撮ってくれる撮影所に行き、素敵な写真を撮ってください。

声優は声の仕事だから見た目は関係ない、と思っている方。
それは勘違いです。
声優業も芸能界。何度も言いますが、人が人をフックアップする世界です。
見た目ひとつで、キャスティングされるか否か、大いく影響します。

ボイスサンプル

声優オーディションを開催している事務所にもよりますが、ボイスサンプルの提出を求められている場合は、注力して制作しましょう。

現行の指定がない場合は、自作するか、インターネット上に掲載されているボイスサンプル原稿を用いてください。

事務所の所属オーディションの場合、声やキャラクターの「主軸」と「幅の広さ」を両方PRしたいところです。
自分の得意なボイスを、第1サンプルに設定。
それ以外の幅を示すために、方向性の異なるボイスを2~3つ提出するといいでしょう。

完璧でなくてもよいが、今の自分に作れる資料を妥協なく用意する。
声優オーディションの審査員はプロです。適当なPRは、一瞬でマインドの低さを見抜きます。

今回のまとめ
  • 声優オーディションは未経験でも不利にはならない
  • 未経験者は「この子を推したい・育てたい」を感じさせよう

声優未経験が前提の、高校生限定オーディションも開催しています。
ただし、本コラムに挙げたヒントを踏まえてエントリーしていただけると幸いです。

「未経験→育成→案件実績→大手事務所への移籍」
これが新たなキャリアステップの考え方。
「養成所や専門学校→大手事務所→脱落して小さな事務所」
これがみんなの考え方。

みんなと同じ道を歩めば、みんなと同じ結果になってしまうことでしょう。
声優未経験だからって臆さず、オーディションにチャレンジしてください。
正しいポイント押さえれば、むしろ未経験のほうがチャンスを得やすいのです。